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日銀河鉄道の夜 宮沢賢治
「ではみなさんは、そういうふうに川だと言《い》われたり、乳《ちち》の流《なが》れたあとだと言《い》われたりしていた、このぼんやりと白いものがほんとうは何かご承知《しょうち》ですか」先生は、黒板《こくばん》につるした大きな黒い星座《せいざ》の図の、上から下へ白くけぶった銀河帯《ぎんがたい》のようなところを指《さ》しながら、みんなに問《と》いをかけました。
カムパネルラが手をあげました。それから四、五人手をあげました。ジョバンニも手をあげようとして、急《いそ》いでそのままやめました。たしかにあれがみんな星だと、いつか雑誌《ざっし》で読んだのでしたが、このごろはジョバンニはまるで毎日教室でもねむく、本を読むひまも読む本もないので、なんだかどんなこともよくわからないという気持《きも》ちがするのでした。
